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時計米国の鉄道時計の型番はムーブメントの刻印で分かる|ハミルトン992B・ヴァンガードなど早見表
この記事でわかること
- 鉄道時計の型は、文字盤ではなくムーブメント(機械)の刻印で決まります。 ハミルトンは「992B」のような番号、ウォルサムやエルジンは「Vanguard」「B.W. Raymond」のような名前で呼ばれます。1869年に鉄道会社の注文で作られたエルジンの時計は、文字盤に鉄道会社の名前、ムーブメントに「B.W. Raymond」と刻まれていました。→6つの型の早見表・刻印の見方
- 同じ名前でも、年代で中身が違います。 1869年の B.W. Raymond は鍵で巻く15石でした。1911年のウォルサムの案内では、Vanguard に18と16の2つのサイズと、19・21・23石がありました。→ウォルサムとエルジンの名前の読み方
- ハミルトン992Bは、1945年の米陸軍の整備の手引きに載る懐中時計です。 手引きは「21石・16サイズ・鉄道グレード・992B」と書き、軍の物はケースの裏の番号の前に「OE」が付くとしています。製造年は、ムーブメントのCで始まる番号で絞れるとする資料があります。→992・992B・950Bの違い
この記事は、型番と年代を調べるための手引きです。本物かどうか・状態・値段の判断はしません。
海外の出品で「Waltham Vanguard」を探すと、1ページ目の25件のうち20件の題に「23J」があり、18サイズと16サイズが混ざっていました。同じ名前でどこが違うのかが気になって、メーカーの昔の案内、米陸軍の手引き、博物館の所蔵記録で6つの型を確かめ、1つの表にしてみました。
型番ごとの詳しいページ
時計ハミルトン992Bの製造年は機械のC番号で絞れる|992・992Eとの違いと軍用4992Bの見分け方
時計ウォルサム ヴァンガードの年代は刻印と番号で分かる|19・21・23石とアップダウン表示の読み方
時計エルジンB.W.レイモンドの年代は機械の刻印で絞れる|番号・グレード・ケースの読み方
- ハミルトン 992Bの写真:セカイモンの出品(2026年10月)セカイモンの許可を得て掲載
- ウォルサム ヴァンガードの写真:Tim Davenport(一部を切り出し)CC BY-SA 4.0元のページ
- エルジン B.W.レイモンドの写真:Joe Haupt(一部を切り出し)CC BY-SA 2.0元のページ
この表はどう読む?(型番・グレード・鉄道規格)
- 型番は、ムーブメントの「グレード」です。 ハミルトンは「992」「992B」のような番号、ウォルサムとエルジンは「Vanguard」「B.W. Raymond」のような名前を使いました。ケースは別の会社が作ることがありました。1869年のエルジンの時計は、ムーブメントがエルジン、ケースは別の会社の刻印です。
- 鉄道規格(サイズ・石数・姿勢の調整・レバーセットなど)の条件は、年代と鉄道会社で変わりました。 条件の目安は時計のページの鉄道規格の節にまとめています。この表は、型ごとの中身を並べます。
- 製造年の調べ方は、時計のページのシリアル番号の節にあります。 この表には、番号と年の対応表は載せません。
- 表のセルは、確かめられた値だけです。 メーカーの資料・米陸軍の手引き・博物館の所蔵記録で確かめた値は「確定」、独立した資料で一致した値は「通説」です。販売店や愛好家の資料だけで一致した値は「コレクターの間の説」と出ます。確かめられない欄は「—」です。「出品での書き方」の列は、私がセカイモンで見た記録です(2026年10月1日)。
米国の鉄道時計は何がある? 6つの型の早見表
型番の下のリンクから、その型番のページで分かることを読めます。
確度の札(意味は表の下):確定通説コレクターの間の説観察
| 型番 | 何の型か | サイズ・石数 | 調整・時刻合わせ・基準 | 作られた時期 | 見分けの手がかり(刻印・番号・文字盤) | 出品での書き方(観察) | 探す |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
Hamilton 992(992E を含む) ほかの事実(1)
| ハミルトンの鉄道向けの懐中時計。1920年ごろには、米国政府がフランスに米国が造った鉄道の時計に選んだ確定 | 資料で確かめられていません | 資料で確かめられていません | 1940年まで。この年から後継の992Bに代わったコレクターの間の説 | 1931年ごろから、温度で変わりにくい合金(エリンバー)のひげぜんまいを使った「992E」がある通説 | 「Hamilton 992」の1ページ目25件のうち、16sが20件・21Jが21件。992Bが9件、992Eが3件まじる観察 | 海外の出品を見る英語の検索語 Hamilton 992 21J |
![]() | ハミルトンの鉄道グレードの懐中時計。1945年の米陸軍の整備の手引きは、支給するハミルトンの懐中時計をこの1つとしている確定 | 16サイズ・21石確定 | 温度・等時性・6姿勢の調整。針はレバーを引き出して合わせる(レバーセット)コレクターの間の説 | 1940〜1969年コレクターの間の説 | ムーブメントの番号はCで始まる。文字盤の多くに「Railway Special」コレクターの間の説 | 「Hamilton 992B」の1ページ目25件のうち、16sと21Jが20件ずつ、「Railway Special」が11件観察 | 海外の出品を見る英語の検索語 Hamilton 992B Railway Special |
![]() Waltham Vanguard(ヴァンガード)Vanguardの石数とサイズの見分け方を読む ほかの事実(1)
| ウォルサムの鉄道向けの型。1911年の案内で、鉄道時計の先頭に挙がる確定 | 18サイズと16サイズ。19・21・23石(1911年の案内)確定 | 温度・等時性・5姿勢の調整。ダブルローラーの脱進機確定 | 資料で確かめられていません | ぜんまいの巻き残りを示す表示(Winding Indicator)付きの物がある確定 | 「Waltham Vanguard」の1ページ目25件のうち、23Jが20件。18sが11件・16sが9件。「Up/Down」などの巻き残りの表示が5件観察 | 海外の出品を見る英語の検索語 Waltham Vanguard 23J |
| エルジンのムーブメントの名前。エルジンの初代社長 B.W. Raymond の名から確定 | 1869年の所蔵品は18サイズ・15石で、鍵で巻く確定 | 資料で確かめられていません | 1867年、エルジンの最初のムーブメントにこの名が付いた通説 | 1869年にペンシルベニア鉄道の注文で作った物は、文字盤に「PENNSYLVANIA RAILROAD CO.」、ムーブメントに「B.W. Raymond」確定 | 「Elgin B.W. Raymond」の1ページ目25件のうち、16sが9件・18sが6件、21Jが8件・19Jが6件。腕時計も2件観察 | 海外の出品を見る英語の検索語 Elgin B.W. Raymond railroad | |
Illinois Bunn Special(バン・スペシャル) ほかの事実(1)
| イリノイ・ウォッチ社の鉄道時計で、いちばん知られた型通説 | 16サイズの21石と23石コレクターの間の説 | 資料で確かめられていません | 1932年まで。この年、イリノイの工場が閉じられた通説 | 資料で確かめられていません | 「Illinois Bunn Special」の1ページ目25件のうち、16sが12件・18sが6件、21Jが14件・23Jが8件。「60 Hour」などが7件観察 | 海外の出品を見る英語の検索語 Illinois Bunn Special 16s |
Ball Official RR Standard(ボール) ほかの事実(1)
| 鉄道の時計の検査官ウェブ・C・ボールの会社が、自社の名で売った鉄道時計確定 | 資料で確かめられていません | ボールは鉄道の時計の基準と検査の仕組みを作った。検査は年2回確定 | 会社は1891年から確定 | 資料で確かめられていません | 「Ball Official Standard」の1ページ目25件のうち、題に Hamilton が3件・Waltham が3件・Elgin が1件。スイス製の今の腕時計もまじる観察 | 海外の出品を見る英語の検索語 Ball Official RR Standard |
確定=公的機関・規格団体・メーカーなどの出典で確かめた事実。通説=独立した複数の資料で一致している説(コレクターの資料だけによるものは「コレクターの間の説」)。観察=運営者が出品での書かれ方を見た記録で、製品の事実の根拠にはしていません。「—」=資料で確かめられていない項目です。推測では埋めていません。
- Hamilton 992Bの写真:セカイモンの出品(2026年10月)セカイモンの許可を得て掲載
- Waltham Vanguard(ヴァンガード)の写真:Tim Davenport(一部を切り出し)CC BY-SA 4.0元のページ
- Elgin B.W. Raymond(B.W. レイモンド)の写真:Joe Haupt(一部を切り出し)CC BY-SA 2.0元のページ
表の出典の格は、ページ下の出典一覧にあります。米陸軍の手引きはS級、メーカーの資料(ウォルサムの1911年・1912年の案内、ハミルトン・ボールの公式サイト)と博物館の所蔵記録はA級、Wikipedia と雑誌はB級、販売店・修理店・愛好家のサイトはC級です。
手元の1個の型は、どこを見れば分かる?
型を決めるのは、裏ぶたを開けた中のムーブメントの刻印です。文字盤とケースだけでは、型は決まりません。
ムーブメントの写真が無い出品は、型を確かめられませんでした。探すときは、裏ぶたを開けた写真がある出品から見ていくのが近道です。
1. ムーブメントの刻印で、型の名前か番号を見る
- エルジンとウォルサムは、名前が刻まれます。 1869年のエルジンの所蔵品は、ムーブメントに「B.W. Raymond」とエルジンの地名が刻まれていました。この記事の Vanguard の写真にも、受け板に「Vanguard」「19 Jewels」の文字があります。
- ハミルトンは、番号で呼ばれます。 1945年の米陸軍の手引きは「model 992B」と番号で書いています。
- ケースの番号は、ムーブメントの番号とは別です。 ケースとムーブメントは別の会社が作ることがありました。年を調べる番号はムーブメントの側です。
2. 文字盤の文字は、型の決め手にならない
- 文字盤の鉄道会社の名前は、注文した会社の名前です。 1869年のエルジンの時計は、文字盤に「PENNSYLVANIA RAILROAD CO.」とありました。型の名前はムーブメントの側にありました。
- 「Railway Special」の文字盤は、992Bだけの物ではありません。 「Railway Special」はハミルトンの登録商標で、992Bの多くの文字盤にこの文字があったとされます。海外の出品では、950Bの題にも「Railway Special」が入っていました。
3. 石数と調整の刻印を、表の値と比べる
ウォルサムは、1911年の案内で Vanguard を「19〜23石、温度・等時性・5姿勢の調整」としています。刻印の石数が表の値と合わなければ、別の型かもしれません。どの型かを判定するのではなく、確かめる手がかりとして使ってください。
4. 番号の頭の英字で、ハミルトンの型と年代を絞る
- 992Bのムーブメントの番号は、Cで始まるとする資料が3件あります。番号と年の対応は、それらの資料で確かめてください(この記事には対応表を載せません)。
- 950Bは「2B」か「S」、軍用の4992Bは「4C」で始まるとする資料があります(愛好家と修理店の資料2件)。
- 米陸軍の992Bは、ケースの裏の番号の前に「OE」が付きます。 1945年の手引きの記載です。ムーブメントのCの番号とは別の、軍の番号です。
ハミルトンの992・992B・950Bはどう違う?
992Bは、992の後継として1940年に出た型です。950・950Bは、同じ16サイズで石の数を23にした型です。
ハミルトンの3つは、文字盤だけを見るとよく似ています。資料を並べると、違いはひげぜんまいの合金と石の数でした。
- 992(1940年まで): 1920年ごろには、米国政府がフランスに米国が造った鉄道の時計に選んだと、ハミルトンの公式サイトが書いています。1931年ごろから、温度で変わりにくい合金のひげぜんまいを使った「992E」が作られたとする資料があります。
- 992B(1940〜1969年): 16サイズ・21石。ひげぜんまいの合金を改め、992とは部品の互換が無い新しい設計だったとする資料があります(コレクターの間の説)。スミソニアンの米国立アメリカ歴史博物館にも、992Bの所蔵品があります。
- 950B(1940年代のはじめから): 23石の950の「B」の版です。992Bと同じころに始まったとする資料が4件あります。終わりの年は、1965年とする資料と1968年とする資料で分かれます。
- 4992B(軍用): 16サイズで黒い24時間の文字盤の、米軍の航法用の懐中時計です。石の数は資料で分かれます。サンディエゴ航空宇宙博物館の1942年の所蔵記録は「22 Jewels」と書き、Wikipedia英語版は21石の鉄道グレードのムーブメントとしています。鉄道向けの992Bとは、型番も文字盤も違います(992Bのページの兄弟の型の節)。
ハミルトンは1969年に、米国ランカスターの工場での製造をやめました。米国製の最後の鉄道向け懐中時計は992Bだったとする資料もあります。
ウォルサム・エルジン・イリノイ・ボールは、名前で見分ける
ハミルトン以外の会社の鉄道時計は、番号より名前で呼ばれることが多い型です。
- ウォルサム: 1911年の案内は、鉄道時計として Vanguard のほかに「Crescent St.」「Riverside」「No. 845」「No. 645」を挙げています。値段(ケースなし)は Vanguard の23石が40.00ドル、Crescent St. の21石が31.50ドル、No. 645(16サイズ・21石)が28.50ドルでした。Crescent St. の出品は、1ページ目の24件のうち21Jが10件で、部品だけの出品も多く見えました。
- エルジン: B.W. Raymond は、1867年に最初のムーブメントに付いた名前です。同じ名前が長く使われたので、18サイズの物も16サイズの物もあります。ほかに「Father Time」「Veritas」も鉄道向けの名前として挙げられています(コレクターの資料2件)。
- イリノイ: Bunn Special がいちばん知られた型です。60時間動く版がある、とする資料があります(年は資料で分かれる)。
- ボール: ボールは時計の検査の仕組みを作った会社で、ムーブメントはハミルトンなど米国の会社が作ったとされます(コレクターの資料2件)。海外の出品でも、題に Hamilton・Waltham・Elgin の名前が入った物がありました。
鉄道の腕時計はある?
1945年の米陸軍の手引きでは、鉄道グレードの懐中時計と腕時計で、許す誤差の幅が違いました。
- 鉄道グレードの懐中時計は、極端な2つの姿勢で1日の差が12秒以内です。
- 腕時計は、1日に−15秒から+45秒の範囲です。
鉄道の仕事で認められた腕時計として、エルジンの B.W. Raymond の腕時計(グレード730A)を挙げる資料があります(修理店の資料1件。確かめられていません)。ボールの腕時計「Trainmaster」は1959年にスイス製のムーブメントで出たとする資料もあります(愛好家の資料1件)。この記事の表には、腕時計の行を入れていません。
海外の出品で探す前に確かめたいこと
国内で同じ型が見つかるなら、国内のほうが合うこともあります。ヤフオクの落札(約180日)を「ウォルサム バンガード」で調べると7件あり、落札の価格の中央値は31,100円でした。海外の出品の1ページ目の価格の中央値は356ドルでした。356ドルの品を米国から取り寄せると、総額計算機の目安(重さ0.5kg、2026年10月20日着の想定)では69,746〜83,986円になります。国内の落札で見つかるなら、国内のほうが安く済むことがあります。
- 海外で探す意味があるのは、国内に出てこない型を探すときです。 「ハミルトン 992B」の国内の落札は、約180日で1件でした。海外の出品では、1ページ目の25件のうち20件の題に992Bがありました。表の行の「海外の出品を見る」から、型番で探せます。
- ムーブメントの写真がある出品を選びます。 型と番号は、ムーブメントの刻印でしか確かめられません。写真で読めない出品は、届くまで確かめられないと考えてください。
- 関税と送れない物は、時計のページにまとめています。 懐中時計の関税・消費税は時計のページの関税の節、電池や革のバンドの扱いは送れない物の一覧で確かめてください。
この記事で扱わないこと
- 本物かどうか、状態、値段の判断
- シリアル番号と製造年の対応表(時計のページで調べ方を書いています)
- 鉄道会社ごとの承認の一覧(会社と年代で違うため)
このブログは、ハミルトン・ウォルサム・エルジン・イリノイ・ボールとは関係のない非公式のブログです。ブランド名や型番は、説明のために文字で書いています。
いちばん意外だったのは、長く鉄道向けの名前として使われた B.W. Raymond の、1869年に鉄道会社の注文で作られた1個が、鍵で巻く15石だったことです。同じ名前でも、年代で中身はここまで違います。
この記事を書いた人
型番さがしの人
海外通販でマニアックな品を探すときの型番と総額を、規格書や海外の資料で調べて書いています。品物を買って試した話ではなく、資料で確かめたことを書いています。
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